日本経済も減速
読書が大好きな女子中学生、月島雫(つきしま しずく)。雫は愛読書の図書貸し出しカードに天沢聖司(あまさわ せいじ)という名が必ずある事に気がつき、知らない彼への思いをめぐらす。そんなある日、電車の車内で出会った猫に導かれ、地球屋という不思議な店に迷い込む。「りぼん」1989年8月号〜11月号にて連載。りぼんマスコットコミックスにて単行本化。全1巻。2005年、文庫本(コミック版)にて発売。全一巻。「耳をすませば〜幸せな時間〜」同時収録。
耳をすませば 幸せな時間
中学生最後の夏休み。「受験生」という立場を持て余し気味の雫はちょっと憂鬱。そんな時、空から降ってきた不思議な羽を拾う。その本体である翼について調べる内に「猫の図書館」に行き着く。 「りぼんオリジナル」1995年8月号に掲載。りぼんマスコットコミックスにて単行本化。全1巻。2005年、文庫本(コミック版)で発売。全一巻。耳をすませば〜幸せな時間〜同時収録。
読書好きの中学3年の月島雫は、父の勤める図書館へよく通うが、自分の読む本を全て先に借りて読んでいる「天沢聖司」の名前に気がつく。その天沢聖司が同級生だと知るのに時間はかからなかったが、天沢聖司のことが何かと気になる雫。
ある日、図書館への道で変な猫を見つけ、その猫を追いかける。猫は小さなアンティークショップ「地球屋」へ入ってゆき、雫は店で老人・西司朗と出会う。西老人は聖司の祖父で、彼は地下の工房でヴァイオリンを作っていた。聖司はヴァイオリン職人になるためにイタリアへ留学したいという夢を持っていた。
確固たる目標を持っている聖司に比べて、何をするべきかが分からない雫。雫は自分の夢を求め、物語を書き始める。
日本映画で初めて音響にドルビーデジタル方式が採用されている。採用されるに至ったきっかけは、1994年10月にアメリカ・ドルビーラボラトリーズの副社長がジブリを訪れ、宮崎駿に対して「日本のスピルバーグといったらアナタでしょう。アナタが音を良くしようと思わなければ、日本の映画の音は一向によくならない」との発言である(ただし当時ドルビーデジタルに対応した映画館は少数)。
作中、雫が学校で無理を言って図書室を開けてもらい本を借りるシーンがある。この際手にした本は『フェアリーテイル』という題名の本で、実在する作品(モニカ・クリング著『フェアリーテイル』)であるが、この本を作中で雫に選ばせたことに特に意味はなく、単に原作で、同名の本を雫が借りたものをそのまま転用しているだけであり、スタジオジブリとしては「フェアリーテール」あるいは「フェアリーテイル」という作品名自体には特別想い入れや意味はないものとしている。また、このとき『フェアリーテイル』の本がある下の段に『TOTORO』というタイトルの本がおいてある。
作中にはいくつかの古楽器が登場する。ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダー、コルネット、リュートなどである。
また、地球屋での「カントリー・ロード」演奏のシーンで、楽器を演奏していた老人たちの中のうちの一人を演じているのも井上直久である。
作中に「ムタ」「サスケ」という名前が出てくる。前者はブタ猫ムーンの別称、後者は学校での生徒の「昨夜(ゆうべ)のサスケ見たか、俺感動した!」という発言であり、この意味は何かという議論が揚がることが度々あったが、「ムタ」はプロレスラーの「グレート・ムタ」、「サスケ」は同じくプロレスラーの「ザ・グレート・サスケ」であると推測される。このことから制作スタッフにプロレスファンないしプロレスの知識がある人物がいると思われる。また「ムタ」は続編とされる『猫の恩返し』で「ルナルド・ムーン」の呼び名として使われている。
作中、聖司が読んでいる本に『霧のむこうのふしぎな町』という作品があるが、これは後に宮崎がアニメ化しようとしたが叶わず、『千と千尋の神隠し』という形で作品化した、柏葉幸子著の実在する本である。
作中、西司朗(地球屋主人)が修理している古時計の盤面に、同じスタジオジブリ作品『紅の豚』の主人公である「ポルコ・ロッソ」(Porco Rosso)の名が刻まれている。
映画の最後のスタッフロールの際の映像をよく見ると、杉村と原田がその後どうなるかを知ることができる。
雫役の本名陽子は後にFX
で『本名陽子 Yoko de Paradise』というラジオ番組のパーソナリティを務め、シングルCDやオリジナルのアルバムもリリースした。アルバム『friends〜フレンズ〜』は久石譲がプロデュースを務め、ジャケットは故近藤喜文監督によって描かれた本名陽子自身の絵であった。
『耳をすませば』のサウンドトラックには、通常市販されているものの他に、CDの表面が金色であったり、微妙にジャケットの異なるバージョンが存在する。
聖司がイタリアに行く前の日の夜、雫が電車に乗る時、外には「耳をすませば」と書いてあるビルがある。
作中の、バロンが登場する雫の小説のなかの世界のデザイン(背景)は井上直久が担当している。雫の小説のストーリーは井上直久によるものではないが、この世界の設定は彼が描く「イバラード」の世界観にほぼ準じている。
フジテレビで以前放送されていた視聴者参加オークション番組『とんねるずのハンマープライス』で、『耳をすませば』の声優としての参加権が出品されたことがあった。オークションが開始されると同時に高値が付き、落札価格は50万円を超えるまでに至った。落札者の男性は、「雫の友達の夕子の父親役」が与えられることになったが、50万円以上という高値で購入したにもかかわらず、与えられた台詞は夕子が自宅に帰った際、声をかけた「おかえり」の一言だけであった。一応彼の名前はスタッフロールに残されており、作品に名前が残るという事では50万円以上の価値はあると言えよう(声の出演の項目参照)。
また、この時父親のいる部屋でテレビに映っていた野球の試合を江川卓と小川光明が解説していた。その試合は読売ジャイアンツ対ヤクルトスワローズであり、読売ジャイアンツの投手は斎藤雅樹である。
1995年当時、人名用漢字に「雫」が含まれていなかったため、名前に「雫」を使うことはできなかった。使用が可能になったのは9年後の2004年9月27日からである。姉の「汐」も人名用漢字に追加されたのは1981年なので、名前に使うことはできない(汐は大学生と設定されているため、最低でも18歳以上である)。
作中には京王電鉄(作品内で駅の看板には京玉線と表記されているが、車体側面のロゴは「FX 取引
」となっている)の5000系をモデルにした電車が登場する。しかし実際には5000系は片開き式の扉であるが、両開き式となっていたり、一部には6000系と5000系が混ざったような電車(前面は5000系、側面6000系)が出てくる。また側面のみで前面は出ないが前述の混合した6000系ではなく純粋な6000系も登場する。作中の電車は全てアイボリーに赤いラインの塗装であるが、2002年より現在の新塗装に変更され、旧塗装であるアイボリーに赤いラインの電車は既に見られなくなっている。
背景キャラ(いわゆるガヤ・モブシーン)を担当している声優の中に俳優の久我未来がいる。久我は天沢聖司役の高橋一生と同い年(1980年生まれ)で、映画が公開された1995年は高橋と共に実際に中学3年生であり、公開開始から約3ヵ月後の10月より『3年B組金八先生』(第四期)で高畑優役を演じている。また、絹代役の飯塚雅弓もかつて『3年B組金八先生』(こちらは第三期と第四期の間に製作された、スペシャルの一作品)に出演していることから「中学」を舞台にした作品としての繋がりから派生したのではないかとの見方ができる。
作中で雫は図書カードに書かれた名前から、聖司に興味を持つといった描写がされているが、プライバシーの保護などの観点から本の貸し出しのバーコード化を進めている日本図書館協会から公開当時、クレームがついた。そのため、DVD化した際に「FX
このような貸し出しのやり方は行われていない」といった内容の字幕がつくこととなった。
地球屋からの眺めを見ることができる場所は、ファンにとってはある意味聖地とも言える場所で、その場所に集まった『耳をすませば』ファンが、『耳をすませば』への想いをつづるために、その場所にいつしか「耳ノート」というノートが設置された。「耳ノート」はたちまち映画を見たファンの寄せ書きでいっぱいになり、何冊にも増えていったが、心ない人間により、ノートが盗まれるという事態も何度も発生した。また、近くの壁面に落書きしたりゴミを散らかしたりなど訪れる者のマナーが悪かったため、付近はフェンスに閉ざされ、立ち入り禁止の紙が貼ってある。その後残念ながら家が建ち完全に立ち入り不能になってしまった(2007年3月現在)。現在、「耳ノート」は桜ヶ丘ロータリーに面するノア洋菓子店の店内に設置されている。ノア洋菓子店では「耳すまロータリークッキー」「耳すまサブレ」などが販売されており、「耳すまロータリークッキー」は「黒赤ちゃん」によって作曲されCD化されている。
主要登場人物の服装は、ほぼ原作どおりである。
原作者柊あおいは、原田夕子を1979年放送の『世界名作劇場 赤毛のアン』の主人公・アン・シャーリーをイメージして描いている。これは柊が同アニメのファンだったからであるが、奇しくも『赤毛のアン』の当時のキャラクターデザイン担当は、本作の監督・近藤喜文である。
原作漫画は4号で連載を打ち切られた作品だけに、原作者はジブリより映画化の提案を受けた時、担当編集者に思わず「冗談でしょ」と言ったそうである。
作中、『魔女の宅急便』で協賛していたヤマト運輸の営業車が走っているシーンがある。